神宮前に拠点を置くデジタルマーケティングを手がける株式会社デジタリフトの戸部祐理さん。自らをジェネラリストと呼ぶ戸部さんのこれまでのキャリアを通して、街との関わり方についてお伺いしてきました。
ファッションを原点にもつ戸部祐理さん
ーーまず戸部さんについて教えてください
現在この会社で3社目になります。1社目はアパレルの会社に11年いました。今、転職が当たり前になった市場から考えると長いですね。ファッション系の大学を卒業後、半年ほどふらふらしてそろそろ仕事を探さないとなという9月頃、下北沢にあるお店で何かやることがないかと聞いてみたのがきっかけで入社しました。販売や店長、バイヤー、ディレクター、デザイナー、あとは服を作ってみたり、採用したり、会社の規則を作ったり。かなりいろいろなことを経て、最後の5年間は取締役として経営に携わりました。
いざ転職となった頃には、なんでもやってきた故に専門性がないキャリアになっていて、職種には困ったのですが、結果的に2社目では人事のポジションで転職しました。2社目は、アパレル×ITのスタートアップの会社で採用をがっつりやって、めちゃめちゃ面白い、もっと採用や人事を深くやりたいと思い、3社目でデジタリフトに転職しました。
ーーなぜデジタリフトに決めたのですか?
上場してすぐのタイミングで入社したのですが、50人以上いるのに人事がいない珍しい会社だったんです。当時、経営陣と現場が積極的に採用に参加する、いわゆる「スクラム採用」で、採用業務自体は人事不在でも問題なく機能していたのですが、会社をもっと良くしていく旗振り役が不在の状態。そのタイミングでこの会社に出会うことができて、会社を良くしていく担当という難易度が高いけどおもしろそうなミッションに惹かれて、ひとりめ人事として入社しました。
ーーここまで聞いていて、なんでもこなしていて凄いなと思ったのですが、ご自身はどう捉えていますか?
Will,Can,Must の3つの円をベン図で表した時に、重なるところでキャリアを作っていけるといいよ、みたいなキャリア形成のフレームワークがあるんですが、私の場合はMust、つまり周りが求めてることを起点として、Canのできることをちょこちょこ増やしてきたというキャリアです。Willは正直あまりなかったんですね。なので結果的に、求められるものはなんでもやるジェネラリストになっていました。今はHR(人事)・PRの領域で、経験豊富でないからこそ常に勉強しながら、プロフェッショナルとして務めています。
ーー今まで、ジェネラリストとして沢山の経験をされてきた中でも、これが今一番活きたなと思うことはありますか?
1社目は”なんでもやってみる”というカルチャーの会社だったので、その経験は今でも活きているかなと思います。バイヤーをやっていた時なんか、大金を持って海外の卸市場に行って、それ10枚ください!って現金で買って、担いでホテルに持って帰って、ホテルの廊下に大きい段ボールを組み立てて、貿易書類を手書きで書いて、日本の各店舗に送るみたいなことをしてました。その仕事はちょっと過酷だったので後任に任せられなくて。だから、言葉が通じないけど現地のエージェントさんを開拓して、輸出入の仕組みを自分で作る必要がありました。サバイバルみたいな状況で「自分の力でなんとかする」を積み重ねた経験は、今も糧になっていると感じます。
原宿表参道エリアに拠点を変えたマーケティング会社
ーーデジタリフトさんがどんな事をしている会社なのか教えてください。
クライアント企業のデジタルマーケティングを統合的に支援している会社です。元々はweb広告だけの会社でしたが、徐々に領域を広げて、今ではデジタルマーケティング全般のコンサルティングから実行までをできるようになりました。web広告は、例えばGoogle検索したときに上位表示されるリスティング広告や、インスタグラムを見ていると流れてくるMeta広告などです。広告運用を通して、お客さんの事業を伸ばすことに深く関わっていくうちに、ニーズが広告だけではなくなってきたんですね。そこで徐々にニーズに合わせてSEOやアフェリエイト、インフルエンサーマーケティング、SNS運用やサイト制作と横展開していき、今ではデジタルマーケティング領域のコンサルティングから施策の実行まで、統合的な支援を行う会社です。
ーーそのようなデジタルマーケティングの会社が、引っ越し先として西麻布から原宿表参道エリアにした理由はなんだったのでしょうか?
移転先には、東京の東側のエリアも含めていろいろな候補がありました。その中でもここにしたのは、当然通いやすさといった合理的な理由もありますが、文化度の高い街だという点も大きな理由でした。弊社の代表も、マーケターなら文化度の高い街を見ている必要があると話していて。
弊社は業種業界問わず様々な企業を支援させていただいていますが、その中でもアパレルやコスメなど、トレンドに敏感な事業のクライアントもいらっしゃいます。そういった中で支援側がトレンドを知らないのはアウトだと思っていて。当然webやSNSで情報収集するのですが、こういう街にいると空気のようにリアルに、トレンドやカルチャーに触れることができるじゃないですか。それってすごく価値があるよねと。
私たちは、広告運用など、マーケティング施策を実行する部分だけを担っているわけではなく、お客さんの事業をどう伸ばしていくかという部分から伴走する支援会社です。なので、当然技術的な知識なども必要ですが、その前段階でお客さんがどういうユーザーを求めているのかを理解して、じゃあそのユーザーは何を求めているのかを理解する必要があります。いろんなクライアントのいろんなユーザーがいるので、マーケターは様々な人の考え方や感覚を理解している必要があるんですね。そのため、文化度の高い街で、日常的にトレンドやカルチャーに触れられる環境というのは価値が高いと考えています。
ーーそれでは実際、ここに来て変わったなと思うことはありますか?
リアルな話をするとランチの幅が広がりました。お昼に外に出ると、華やかだし、いろいろな人がいる街なので、オフィスの外に出て散歩する価値があるなと思って。実際に外に行く回数も増えました。会社の近くにキッチンカーがあるので、みんなでテイクアウトして、会社のソファー席で食べたりもします。
あとは、西麻布に比べて、老若男女がいるというか、ミクスチャーだなと感じています。ずばぬけておしゃれな人がいるかと思えば、地方から遊びに来ている風の人がいたり、海外からの旅行者がいたり、いろいろな人を観察できて、同じ空気を吸えることが新鮮です。
とても個人的な話をすると、この会社に来た時、ずっと関わっていたファッションから離れてしまう怖さが少しありました。今この、おしゃれしがいのある原宿表参道の街に来たことは、自分のルーツに少し近づいたような感じがしてうれしいですね。
取材を終えてーー
働く人や様々な環境の視点から捉えた「会社」についての記事を書くことが出来ればと思いこの取材に行かせて頂きました。
デジタルの会社だからこそ、文化度の高い街で肌でトレンドを感じたり、ランチの時間を通した街との関わり方など、拠点の変化で人の気分もかなり変わる様子をお伺いできとても面白かったです。また、遠ざかってしまったように見えたファッションと戸部さんがまたこの町を通して近付いた事を聞いたとき、自分が頑張ってきたこと、今頑張っていることが将来またどこかで繋がるといいなーと思いました。がんばれ私ーー!!
今回取材後に戸部さんのおすすめのお店でランチを食べてきました。色んな人を観察したり、裏道を通っていい雰囲気のカフェを沢山発見して、戸部さんの仰っていたように散歩が楽しい街だなーと感じながら向かったランチ。エスニック料理のお店でガパオライスを頂きました!おいしかったです!!!おすすめありがとうございました!!
◼️戸部祐理
三重県鈴鹿市出身。大学で上京しファッションを学ぶ。スタイリストやデザイナーのアシスタントを経てアパレル企業に入社。販売、店長、バイヤー、ディレクターと仕事に夢中になり、オリジナルブランドの立ち上げ、服作り、toB営業も経験。人事労務等にも携わり、5年間取締役を務める。株式会社Branditを経て、2022年2月、株式会社デジタリフトにひとりめ人事としてJOIN。現在はPRも兼務し、HR×PR領域に従事。
◼️株式会社デジタリフト
「カスタマーの意思決定を円滑に」をビジョンとして掲げる、統合デジタルマーケティング企業です。クライアントのCdMO(チーフ・デジタル・マーケティング・オフィサー)として、包括的なマーケティングソリューションの提供を行うスペシャリスト集団を目指しています。
【事業内容】
広告・コンサルティング事業:コンサルティング / 広告運用
ブランド・メディア事業:SEO / インフルエンサー / アフィリエイト / SNS運用 / 制作
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