SNSと美容師という職業を通してセクシャルマイノリティー当事者の日常を発信 あいたむさん

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原宿の美容室でスタイリストとして働くあいたむさんは、セクシャルマイノリティー(以下、セクマイ)当事者であることを公言しています。TwitterやInstagramだけでなく、2019年にはYouTubeチャンネルを開設し、現在は2つのチャンネルで発信をしています。

今回取材をした原宿表参道新聞編集長の白鳥実藍は、中学1年生の頃からカットやカラーをあいたむさんに担当していただいています。個人的にもYouTubeの動画も全てチェックしており、あいたむさんの人柄が大好きなファンの一人です。

渋谷新聞のライターになってからいつか取材させていただきたいと思っていた中、原宿表参道新聞を創刊したことで、オファーをさせていただき、今回の取材に至りました。

“原宿”で“美容師”をするということ

ーーー美容師を目指そうとしたきっかけはなんですか?

まず仕事でスーツを着たくなかった。あと座って仕事をしたくなかった。「立ち仕事で好きな服を着れる、そしたらもう美容師じゃない〜?」みたいな感じです(笑)。

ーー美容師免許を取るまでに大変なことはありましたか?

美容師の国家試験は、学科と実技の2種類です。 私が得意なやつと、本当に苦手なものがあって、たまたま試験が得意なやつだったから、大変なことはなかったかな(笑)。
意外と優等生だったから学校は朝7時とかに行って練習ちゃんとやってたんです。

ーー原宿の美容室で働くことを選んだのはなぜですか?

最初は違う地域の美容室で働いてたんです。でも、やっぱり昔から原宿が好きで遊びに来てたし、原宿や表参道って美容師の中でも特別なエリアだからそこで働きたいと思いました。

今は元々働いていたupsy daisy(アップシーデイジー)の中の2席を借りて、そこでフリーランスとして活動しています。

ーー昔から原宿で遊んでいたとおっしゃっていましたが、どんなことをされていたのですか?

学校が代々木だったので、学生でお金もないから原宿までよく歩きました。昔、原宿にはスナップカメラマンがたくさんいたから、撮られたくて6時間とかずっと歩き回ったの(笑)。1万歩のレベルじゃないよ。

あと、スナップカメラマンだけじゃなくてモデハン(モデルハント)っていう、「髪の毛を切らせてください!」って声をかける美容師も昔、超いたよ。それも今はなくなってきてSNSで声をかけるのが主流ですね。

ーー5月に原宿表参道新聞を創刊したのですが、あいたむさんが思う原宿と表参道の区切りってどこだと思いますか。

個人的にラルフローレン辺りでわかれる気がする。私はよくキックボードで移動するんですけど、ラルフローレン辺りから雰囲気が変わるのでちょっと遠慮して押して歩いてます(笑)。だからキックボードを漕げるか漕げないかが私の原宿と表参道のエリアの区別ですね。キックボードは7年くらい前から乗ってて、超速いし楽なので移動手段におすすめです。

みんなが美容室に行きやすい環境を提供したい!

ーーーYouTubeでも動画投稿をされていますが、それを始めたきっかけは?

​​​​​​元々、私は美容師の女の子同士で付き合っていました。その頃は美容師同士のセクマイカップルって珍しかったし、二人で施術していたお客さんに「君たちが担当だと美容室に来やすいわ〜」と言ってもらい、他にもそう感じてくれる人がいるんじゃないかなってこんな美容師カップルもいるよって知ってもらいたいと思ったことがきっかけかな。

セクマイの女の子たちっていうのは、美容室で接客されるとき時に女の子が好きなのに「彼氏とどうなの?」って言われたり、カップル同士で行っても女友達同士だと思われてしまう。あと、「どんな男の子がタイプなの?」って話を振られるのが嫌で行きにくいって人が多いんです。

ーーー自分たちが同性カップルであることをSNSで発信することに抵抗はありましたか?

同性愛者であることが悪いことだとは全く思っていなかったから、中学生の頃に親にはノリでカミングアウトしていました。友達と恋愛の話をするときも主語を“彼女”にしていたら自然に受け入れられていたから、SNSに書くこともその延長で特に抵抗はなかったです。当時は珍しかったけどね〜。

今はTwitterやInstagram、YouTubeを観てお店にいらしてくださる方が多くてありがたいです。

ーーーYouTubeにはどのような動画をあげているのですか?

個人チャンネル(『あいたむ』)は、自分で動画を回して美容師の1日や、恋人とのデートをまとめてみたりしています。最近、パートナーが胸オペ(乳腺・乳房切除)をしたので手術のレポートやホルモン注射の経過も載せています。

もう一つのチャンネル(『あいたむとたしぴのチャンネル』)は、今は友達とやっていて、新宿二丁目でインタビューをしたり、他のセクマイYouTuberさんとコラボをしたりしています。

YouTubeを観て私のことを知った状態で美容室に来てくれると、当事者の視聴者さんには同性同士の恋愛の話を何の壁もなくスムーズに話してもらえます。相談も聞くし、アドバイスもするし、当事者ではない視聴者さんには私たちの当たり前の日常を見て「こんな人たちもいるんだね」みたいな、LGBTQについてちょっと知るきっかけになってくれたら嬉しいです。

ーーー理想の美容師像はありますか?

普通に施術が目的で来てくれる子ももちろん多いんだけど、恋愛相談がすごく多くて。この間も急に予約入ったなって思ったら、「昨日別れて苦しくて来ました」とか、「今浮気されてるかもしれません」みたいに話したくて予約を取ってくれるーー。画面上で発信するだけでなく、美容師として会える立場にいるので、せっかくなら友達のような距離感でお客さんひとりひとりに寄り添っていけたらなと思ってます。

自分でお店をやるのは、今はパートナーの性転換と自分のことで精一杯なので、いずれお店が持てたらな……と思っています。

今回の取材を通して、原宿表参道と美容師の世界は切っても切り離せないということがわかりました。そしてあいたむさんのセクマイ当事者の美容師としてのあり方を改めてお聞きすることができました。

普段美容室でお話しさせていただいているときより緊張してしまいましたが、今まで知らなかったあいたむさんの一面も知ることができて嬉しかったです。

■ あいたむ 略歴
山野美容専門学校 卒。銀座の美容室を経てyocca hair &make に入社。2017年よりセクマイ美容師としてえりかと活動を開始。2019年YouTube開始。現在はフリーランスとして原宿にて勤務。

Twitter・@aitam_aitam
Instagram・@aitam1691
YouTube・『あいたむとたしぴのチャンネル』 『あいたむ

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