
年を重ねても毎日を「活きいき、楽しく、かっこよく」生きるかという「グッドエイジング」。一般社団法人日本メンズファッション協会(MFU)が立ち上げた「グッドエイジング運動」は、その理念を体現する人々を「グッドエイジャー」として顕彰することで、新たな文化を創造しています。
2025年9月3日、第23回となるグッドエイジャー賞の発表・授賞式が開催されました。このイベントは、MFUをかつての存続危機から立て直し、再び輝く業界団体へと導いた八木原 保理事長の強いリーダーシップの下、盛大に行われました!
原宿を『ファッションの聖地』へと育て上げた「原宿の父」

埼玉県行田市から18歳で単身上京し、原宿を拠点にニット専業企業「ジム」を創業した八木原理事長。
当時、神社や緑の茂る閑静な土地であったこの街を、世界に名だたる『ファッションの聖地』へと育て上げた功績から、「原宿の父」として知られています。MFUの理事長だけでなく、東京ニット卸商業組合理事長としても長年、繊維ファッション業界の発展に貢献してきました。
MFUを立て直し、輝く業界団体へと導いた八木原理事長は、授賞式の冒頭、この賞が23回目を迎えられた喜びを語るとともに、日本の匠の技を次世代に伝えるMFUマイスター認証に3名が選ばれたことを紹介しました。
国内外の不透明な情勢についても言及しつつ、八木原理事長は「こういう難しい時だからこそ、夢と勇気と元気と希望を発信して、ワクワクドキドキして生きていくような感じで、日本の国全体を盛り上げて、元気づけていきたい」と、力強く語りました。
MFUマイスター技術遺産認証 / 日本の誇る「匠の技」
グッドエイジャー賞と並び、この日の授賞式では日本の卓越した技術を次世代に伝える「MFUマイスター 技術遺産認証」が行われました。これは、歴史と伝統に裏打ちされた高度な技術、革新的な技術、そしてユニークな発想を持つ「かくれた名人」を発掘し、その技術を世に広めることを目的としています。

2025年度は、以下の2社1名が栄えある認証を受けました。
株式会社サンライン(代表取締役:佐藤 克豊 さん)
青森県津軽地方で創業し、社員と共に苦しい時代を乗り越えてきた株式会社サンライン。佐藤社長は、いかなる困難にも屈することなく挑戦を続け、関係者への感謝を忘れずに歩み続ける決意を語りました。

有限会社日伸貴金属(職人:上川 宗光 様)
江戸時代から十二代続く伝統工芸の銀職人である上川さん。実はご自身が金属アレルギーであるという苦難をお持ちです。その苦難を純銀がアレルギーを起こしにくいという知見で乗り越え、自作のアクセサリーを制作するに至った挑戦には心を打たれました。

株式会社滝善(代表取締役社長:滝 善藏さん)
創業102年を迎えた愛知県の老舗繊維会社、株式会社滝善。40年前に企画・開発した美濃和紙を用いた糸が大手アパレルに採用されるなど、伝統に安住せず「のれんを塗り替えていく」という挑戦的な姿勢を語りました。

グッドエイジャー受賞者が体現する「あるがまま」の人生
今年のグッドエイジャー賞受賞者は、歌手の麻倉未稀さん、俳優の賀来千香子さん、陣内孝則さん、株式会社黒茶屋代表取締役会長の髙水謙二さん、リストランテ濱﨑オーナーシェフの濵﨑龍一さん、坂善商事株式会社代表取締役社長の村上隆司さんの6名です。それぞれが歩んできたユニークな人生が「グッドエイジング」の多様なあり方を教えてくれました。

陣内孝則さん(俳優)
「人を楽しませたい、人を魅了したい、人を感動させたい、人を笑わせたい、それが資本なんだ」という恩師からの言葉を胸に、常に人を楽しませることを大切にしてきた陣内さん。授賞式では「年齢に抗わず、あるがままに生きること。そして正直に生きること」と、自身のグッドエイジングの考えを語りました。陣内さんのグッドエイジングの考えに、たくさんの人たちが深い感銘を受けていました。

麻倉未稀さん(歌手)
乳がんという病を乗り越えた経験について語り、闘病生活を通じて「生きるかどうか」ではなく「目標に向かって生きていこう」と気持ちを切り替えたと明かしました。この言葉は、同じ経験を持つ私自身も深く共感するものでした。現在はNPO活動を通じて社会に貢献している麻倉さんの姿は、人生の目標を持ち続けることの素晴らしさを教えてくれました。

賀来千香子さん(俳優)
高校時代から俳優として活躍してきた賀来さん。授賞式では「ユーモアのセンスを大切に日々を過ごしている」と語りました。また、これから挑戦したいこととして朗読や「ピックルボール」を挙げ、常に新しいことに挑む前向きな姿勢を示しました。

髙水謙二さん(株式会社黒茶屋代表取締役会長)
家業の倒産や自宅の火災という絶望的な状況から、「残っているものを数えなさい」という禅僧の言葉をきっかけに再起を果たしました。「儲かるか正しいかではなく、面白いかどうかで決める」という哲学で、古い建物を生かした事業を展開される髙水さんからは、挑戦し続けることの意義を教えてくれました。

濵﨑 龍一さん(リストランテ濱﨑オーナーシェフ)
料理人としての挫折や、地元・鹿児島での食を通じた地域貢献の活動を紹介。親子で店を受け継いでいく濵﨑さんが語る「最初は教える側だったが、今は息子に使われる感覚」という言葉からは、世代交代の喜びと、店を未来へと進める確かな力が感じられました。

村上 隆司さん(坂善商事株式会社 代表取締役社長)
変化する時代に対応するためには「平成以降の世代にバトンを渡していくことが大切」と語った村上さん。授賞式では、会長を務めた父が50年前に締めていたネクタイを着用してきたエピソードを紹介。まさに次の世代へと想いが受け継がれる象徴的な光景でした。

新たな世代へ受け継がれる「グッドエイジング」の精神
MFUの立て直しで八木原理事長が示した「変革」の意志、そして受賞者たちからはそれぞれの人生で体現した「挑戦すること」「好きなことを続けること」「笑顔でいること」の大切さを教えてくれました。「グッドエイジング」が単なる個人の生き方ではなく、社会全体を豊かにする文化であることを明確に示しています。
原宿の若い世代にとっても、“かっこよく年を重ねる”未来のモデルケースになりそうです。
イベント概要
主催: 一般社団法人日本メンズファッション協会 グッドエイジング委員会
後援: 経済産業省 (MFUマイスター≪技術遺産≫認証)
協賛: 西武信用金庫、大同生命保険株式会社、東急株式会社・東急ラヴィエール株式会社