新たにハラカドにオープンした「SEPLÚMO」。世界中から、人や地球に優しい“エシカルなモノ”を集めたセレクトショップだそう。今回は店舗にお邪魔し、代表の若山ななみさんにお話を伺ってきました!
キーワードは「エシカル」
ーーSEPLÚMOという店名にはどんな意味が込められているのでしょうか?
「7つ(SEP)の大陸の素晴らしいモノに、光(LÚMO)を当てる」というメッセージを込めて名付けました。商品をセレクトする基準としては主に8つあります。
ーー「エシカル」を軸に、商品を大切にセレクトされているんですね。
エシカルという言葉には、「倫理的な」という意味があって、環境・社会・人に対してやさしい配慮があることを指します。起業する前、自分のやりたいことを考えていた時にこの言葉に出会いました。大量生産と消費が繰り返される現状を見て、すごく心苦しくて。必要なのはエシカルで、「これこそ私のやりたいこと! なんてマッチしてるんだ!」と思いました(笑)。それで、エシカルという枠組みを設けて、SEPLÚMOを創っています。
SEPLÚMOを見学!
店内にはカラフルな商品が数多く並べられており、めちゃくちゃ可愛かったです!見ているだけで海外旅行にいったようなワクワク感も味わえました⭐︎
登山で被災、そして起業
ーー活動を始めたきっかけを教えてください。
大学生の頃、「*セブンサミッター」を目標にいろんな山に登っていました。転機となったのは5山目で登りにいったエベレストです。1年かけて準備をして、ネパールの人たちとタッグを組み、助けてもらいながら登り始めました。しかし、登山中にネパールで70年ぶりの大地震が起きたんです。甚大な被害が広がり、現地では多くの方が亡くなりました。一番安全な場所だとされているベースキャンプでさえ、雪崩によって流されてしまったんです。私がよく知っているはずのネパールは、変わり果てた姿でボロボロになっていました。
*セブンサミッター:7つの大陸で最も高い山を全て登った登山家のこと
ーーかなり甚大な被害だったと見受けられるのですが、若山さんも危険な状況にあったのでしょうか?
幸いなことにチベット側から登っていたので、私も、一緒に登っていた仲間も、誰一人亡くなることなく無事に生還しました。この出来事を経験して、「生かされている」と強く感じるとともに、登山の際にたくさんサポートしてもらったネパールに対して、今度は私が何かしたいと思ったんです。それで大学を卒業してすぐに、Our Farmsを立ち上げました。現在はさまざまな事業を拡大し始めていて、今回新たにオープンしたSEPLÚMOもその事業の一つです。
ーーボランティアではなく、「会社」として活動を始められたのは何か理由があるのでしょうか?
私は活動する中で、「永続性」に重点を置いています。持続可能な活動にしていくためには、仕事を作り、ビジネスとして成り立つような仕組みを作る必要があると考えました。それで、当時ネパールで高く売られていたイチゴを日本から持ってきて、ブランディングして販売するという事業を始めました。
ここからは若山さんの素顔に迫っていきます…!
ーー若山さんの私生活が気になるのですが、趣味や最近ハマっていることなどありますか?
そうですね…もうすぐ8歳になる息子がいるんですが、大好きで可愛くてしょうがないです。息子に言われたらなんでもオッケーしちゃうくらい、親バカだと思います(笑)。
あとは、スピリチュアルというわけでもないですが、「水」にハマってます。水には情報を記録する能力があって、語りかける言葉によって形を変えるらしいんです。だから水を凍らせた時にできる結晶の形はさまざまになるらしくて。それってすごく面白いと思うんです。今私たちが目にしているものや物質って、1〜3次元のレベルのものだけど、もっと高次元のミクロの世界に入っていくと、感情も波動や粒子でできていたり、見えないものがたくさんあって。見えてる部分がすべてじゃないと思うと同時に、改めて人も地球もみんな繋がっているんだなあと…そんなことに最近ハマっちゃって調べたりしてます(笑)。
ーーこれまで色々な国に行かれていると思うのですが、一番好きな国はどこですか?
やっぱりネパールですね。なんというか、家に帰ってきたような感じがしてすごく落ち着くんです。もちろん家は東京だけど、東京にいると忙しくてもそうでなくても常にソワソワしていて、なんだか孤立しているような気持ちになるんです。ネパールには1人でよく行くんですが、孤立していると感じたことはなくて、もっとフリーでのびのびとしていられる感じなんです。ネパールの力なのかなあ、、ぜひ行って体感してもらいたいです(笑)。
躍動感のある街「原宿・表参道」
ーー原宿で働く中で、街にどんな印象を抱いていますか?
新たなものが受け入れられやすい街だなと思います。例えば、店頭に置いてあるプープーペーパーは、土地によって反応が全く違うんです。「ゾウさんのうんちなんです」と伝えると、汚いって嫌な顔をされる方もいれば、可愛いと言ってくださる方もいて。原宿は9割くらいの方が可愛いという反応から入ってくださいます。うんちから紙ができているというのを肯定的に面白く捉えてくれるんです。そういった新たなモノや視点を否定せず、ポジティブに捉えてくれるという点で、さまざまな商品を扱うSEPLÚMOと合っているなと思うし、これからも皆さんがまだ出会ったことのないようなモノをどんどん取り扱っていきたいなと思います。
ーー確かに、私自身ストリートスナップをしによく訪れるんですが、原宿の印象を聞くと「自己表現しやすい街」と言われる方が多くて、その背景には受容感があるんだろうなと感じています。
すごくポジティブなエネルギーで満たされていますよね。古くから根付いたカルチャーがある一方で、新たなカルチャーも吸収しているというか。原宿に来るたびに新しい顔が見えて、常に動いている、躍動感のある街だなと感じています。この街で働くことができてすごく楽しいです!
ーー原宿の好きなところやおすすめスポットを教えてください。
竹下通りですかね。ランドセルを背負った学校帰りの息子と一緒に歩いていると、自分も学生の頃に戻ったような感覚ですごく楽しくて。洋服を買ったり、ユニークな食べ物やキャラクターグッズを見たり、ガチャガチャしたりプリクラ撮ったり。時代に合わせていろいろ変化しているけれど、根本的な「わくわく感」は常にあって。だから世代を超えて楽しめる場所なんだろうなと思います。
将来の夢
ーー将来の夢はありますか?
うーん…大きな夢はないかもしれないです。やりたいことがたくさんあるので、とにかく今の活動を確立させていきたいです。ワクワクすることを形にしていきたいという気持ちが強いので、ひとつの目標だけに対して前進するというよりは、変化に順応しながら今始めたことに目を向けて頑張っていきたいです。
ーー若山さんはどんな世界を目指しますか?
すべての人が生き生きと自分の人生を楽しめる世界を創りたいです。生まれた環境によって赤ちゃんの頃からすごく苦労することだってあるし、逆に何不自由なく生きる人もいると思うけれど、同じ地球に生きているんだから、せっかくなら一人一人が自分の人生に満足して楽しく生きられる世界になったらいいなと思うし、そういう世界を創りたいです!
ーー最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
毎日SNSを見ていると、人の意見や価値観などたくさんの情報が入ってくると思います。でも、それにあまり惑わされず、自分がやりたいことってなんだろうって考えてみたり、やりたいことをやったり、気になることを追いかけてほしいです。人生ってチャンスがたくさんあるので!特に原宿は自由に表現できる街だと思うので、こういった環境のなかで自分の個性を大切に、好きを貫いてほしいなと思います。
インタビューを終えて
今回、若山さんにお話を伺って、好きなことを貫き、夢をカタチにしていく力強さや行動力に感銘を受けるとともに、ものすごく魅了されました。私自身、人にも地球にもやさしい世界を目指しているので、若山さんのように学生時代からアクションしていきたいとエネルギーをもらいました。
印象的だったのは「永続的な活動にするために、ボランティアではなく会社を創った」という言葉で、正直、私はこれまで資本主義社会の中でエシカルな取り組みをするのは難しそうだと思っていました。どれだけ環境に配慮した取り組みでも、そこで働く人に負荷がかかっていたり、ボランティア精神だけでは補えない部分が生じがちで、結果、プロジェクトが突然終わる、ということもかなりあると思います。今回、若山さんの取り組みを知って、経済の循環もエシカルな価値観も欠けることなく実現されていてかっこいいなと思うと同時に、私もこのような社会を創る人になりたいと思いました。
◾️若山ななみ
1991年11月8日・神奈川県出身。大学在籍中からモデル活動と登山に没頭。世界7大陸最高峰を登頂する「セブンサミッター」を目指して、4大陸成功。2014年10月ネパール・マナスル(8163m)登頂は、世界最年少記録。2015年4月に5 大陸目の8849mエベレストに挑戦中の 6300m 地点で、ネパール大地震に見舞われて下山。これを機にネパールの雇用創出に貢献したい想いから、日本品種オーガニック・イチゴ『HIMEBERRY』を生産販売中。現在農地10は社員40名、契約農家200人、関わる農家年間2000人。2030 年までに1万人分の仕事の創出が目標。2020年4月にネパール語と日本語のオンラインスクールを開始。現在はエシカル商品のセレクトショップSEPLÚMOを運営。2024年より東急プラザ原宿ハラカドにお店を構える
◾️会社概要
SEPLÚMOの運営会社Our Farms株式会社は、2015年からネパールで日本産イチゴHIMEBERRYの生産販売を行っており、現在2000名以上の雇用 雇用創出を事業を通して行っています。もっと世界中のエシカルなものを日本の皆様に知ってもらいたいという想いで、2022年にこのエシカルセレクトショップをオープン。