クリーンアップから始まる、人と街の繋がり 中村元気さん

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今回は、原宿表参道新聞のアドバイザーであり、キャットストリートのクリーンアップ活動を行う地域コミュニティ「CATs」や、ゼロウェイストを目指す「530」の代表である、中村元気さんに取材させていただきました!

活動について

ーーCATsの活動について教えてください

主にクリーンアップの活動を行う地域コミュニティです。2014年から始めて、毎月第3土曜日に集まっています。基本的には地元の方が参加してくださっていて、多世代で交流できる場となっています。

▲クリーンアップの様子

ーークリーンアップ以外にも活動されているんだとか…?

地域の子供達からのお声がけで、ゴミ拾いならぬ、落ち葉拾いをすることなったんですが、拾った落ち葉を捨てちゃうのも勿体無いし、肥料にしてみようとなったことをきっかけに、コンポスト活動や屋上でのファーミングも行っています。

最近だと、アップサイクルの活動も始めて、廃棄される素材から製品を作ったり、「食」をテーマとした商品開発も行っています。

▲落ち葉コンポストの様子

きっかけは、この街にいたかったから

ーーご出身はどちらですか?

埼玉の行田市です。高校まではガッツリ地元で過ごして、東京の大学への進学を機に東京に出てくることが増えました。大学4年の時に初めてクリーンアップの活動を始めて、最初は単発のイベントとして発足したんですが、なんとなく活動が習慣づいて…気づけば11年くらい続いていた感じです(笑)。

ーー大学では今の活動に通ずるような勉強をされていたんですか?

全然受けてないんです。最近は環境問題にアプローチするための授業とか、当たり前にあると思うんですが、当時はほとんど話題にもなっていなかったように思います。もちろん専門的に活動されている方はいたけれど、一般的に「環境問題に取り組むことが普通」という感覚はなかったですね。そういう時代だったように思います。

だから、環境問題に取り組むためにこの活動を始めたというより、「コミュニケーションツール」としてクリーンアップを選んだ、というのがきっかけとしては大きいです。

ーーものすごく素敵ですね。実際に活動されていてどうでしょうか?11年も続くほど根強いコミュニティとなっている理由が気になります。

クリーンアップって、結構会話しながら成り立つ活動なんです。そういう部分がすごくいいなと思っていて。もちろん、ゴミを減らしたいという目的もありますが、活動を始めた当初なんかは特に、ゴミを減らすよりも、みんなと話しながら集まる理由ができて、しかも感謝される。終わったあとはものすごく気分がいいんですよね。

人と人が繋がる街を

クリーンアップの活動を続ける中でつくづく感じるのは、「コミュニティの機能」がいかに大切かということです。海外では地域コミュニティがかなり発展していて、問題に対して“個人で解決を目指す”というよりも、“街全体でどう協力していくか”という視点が重視されているんです。普段生活する中で「繋がる場」があると、災害が起きた時も助け合うことができるし、環境をよくするという意味でも、こころの健康という点でも、無理なく自然派生的に好循環が広がっていくと思います。

ーーなるほど。私自身、渋谷区で生まれ育ってきて、幼少期はマンション内で住民同士挨拶をしたり、ごはんを作りすぎた時におすそ分けしたり、時々親が不在の時に預かってもらったりと交流がありました。けれど自分が年齢を重ねるにつれて関わりが減ってきて、今じゃお隣さんの顔さえ知りません。

都心だと特にそうですよね。もし今災害が起きたとして、どれほどの人と助け合えるか。日々の生活の中でコミュニケーションをとって、いざという時には助け合えるように。そういったことも意識しつつ、コミュニティづくりをしていきたいと思っています。

街の「余白」が好き

ーーなぜ、活動拠点に「原宿」を選んだのでしょうか?

シンプルに「よくこの街で遊んでいたから」というのが大きいかもしれません。僕は大学生の時、ファッションスナップをやっていたんです。カメラマンではなかったんですが、インタビューやメディアをやっていて。当時の原宿は、ファッションとスナップの聖地だったのでよく遊びに来ていました。就職を考え始めたタイミングで、別の道に進むかもと思った時に、なんだかこの街との接点が減っていく感覚があったんです。すごく好きな街だから、どうしたら自分もこの場所にいられるだろう、理由を作れるだろうって考えて。それで、“この街にいるため”に、原宿で活動を始めました。

ーー普段、キャットストリートを中心に活動されていますが、好きな場所やポイントはありますか?

お店だとMUSHROOM TOKYOさんやCHOP COFFEEさんが好きですね。忘年会をさせていただいたりもしますし、よく行きます。街中で好きなスポットっていうと、GYRE近くのスロープ下の空間とか。なんとなく立ち止まれるような、「街の余白」となっている部分が好きです。

ーー街の余白。モノや人で溢れる都会だからこそ、余白の重要性を感じます。

そうですね。案外そういう場所の方が、大きな出会いや会話が生まれるように思います。僕はある意味、減りつつある「余白」を創っているのかもしれません。余白があるから会話が生まれる。それを無くさないために活動を続けているように思います。

原宿は案外、空が広い

ーー学生時代から原宿に来られていたと思うのですが、改めて街の印象を伺いたいです。

ずっとこの街にいるというのもあって、安心感があります。学生時代はファッション全盛期だったこともあり、中途半端な格好では歩けない場所でした。頑張らないといけないというか、かなり緊張感があったように思います。でも今は気取らなくていいというか、自然体でいられる場所ですね。

あとは、他の街よりも緑が多いなと思います。街の中に入っていくと案外空が広かったり。そこはずっと気に入ってるところです。こんなにも一等地でこれだけ空が広いというのは特殊だし、街を歩いていてすごく気持ちがいいです。田舎なら当たり前のことかもしれないけれど、都市のど真ん中でそれが実現されているというのがいいな、すごいなと思います。

ーー確かに、田舎の空の広さと都会の空の広さは全く違いますよね。同じ空を見上げていても、少し視野を下げた時に都会の景色が広がっていて、でもまた見上げると自然が目に入ってきて。不思議な居心地の良さや雰囲気がありますよね。

そうですね、そういう自然と都会が混ざり合った原宿の景観が、この街の特殊性であり魅力だと思います。

選択の幅を広げる提案を

ーー最後に、今後の展望を教えてください

「消費以外にこの街に来る理由をつくる」ということをしていきたいです。クリーンアップもファーミングも、“クリエイトする”活動だと思っていて。消費が当たり前のこの街で、「消費しなくていいんだ」「他の選択もあるんだ」と意識できるようなコンテンツを作っていく。そういったことを意識して活動を続けていきたいですね。

ーー消費サイクルが循環するこの街だからこそ、消費以外の選択を提案していく。ものすごく素敵ですね。

世の中にはたくさんのモノが溢れていて、消費が当たり前で、何をするにも目的や数字がないといけないというような焦りもあるように思います。だからこそ、そうじゃなくていいんだと提案するための余白や居心地の良さ、空間を作りたいです。

例えば、クリーンアップの活動だって、ゴミ問題に興味がなくちゃ参加しちゃいけないなんてこと絶対にないですし、そうじゃなきゃ参加できない活動にはしたくなかったんです。誰もがタッチポイントとして気軽に参加できるようなイベントやコンテンツを、これからも作っていきたいです。

◾️中村元気

2014年から原宿のキャットストリートで地域活動「CATs」を始める。消費の中心地だからこそ、クリーンアップや表参道の落ち葉を使ったコンポストなどなど、お金では手に入らない人間関係作りや、生産する側になり価値を生み出すアクションを実験的に行う。2018年からごみ問題の根本解決を目指すために「ゼロウェイストな」ライフスタイルの提案を行う「530(ゴミゼロ)」を立ち上げ活動している。現在は、東西南北、日本中の生産者の思いのつまった食材を最適な加工品の形に変えることで、国内外にその魅力を共有しながら、現代における“食”のあり方を探究していくフードプロジェクト「N.E.W.S project」を2023年の夏頃から開始し現在。

◾️CATs(キャッツ)

2013年から原宿のキャットストリートで行われているクリーンアップの活動 / 地域コミュニティ。

◾️530(ゴミゼロ)

2019年に設立した社団法人。ゴミ問題の根本解決を目指し、ゴミの出ないライフスタイルを提案。

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